
応募対象の概要
新宿駅と駅北側歓楽街の間にある敷地に、二つを繋ぐような、複合型商業施設の提案。歓楽街のスケールと余白空間を建物内に取り込み、新宿らしさである、密さを受け止め、ビル風を受け流す。単なるハコモノビルではない、セルフビルド的に発展してきた歴史の要素と光・水・緑が溢れる、新しい顔となる建物をつくり出す。
フェーズフリーな性質の概要およびアピールポイント
本提案でのポイントは「余白空間」「デジタル」「貯蓄」である。建物内の「余白空間(屋外の広く機能がない空間)」が日常では運動等で利用されるが、特に、工房の活動の延長が非常時で避難所として機能した時に、快適な居場所づくりに貢献する。また、建物内であることが安心感を生み出す。「デジタル」に強いまちの要素が入った、サテライトオフィスの電子機器やデジタルサイネージが、非常時に外部との通信や現況等の情報の受発信に役立つ。ホテル・レストラン機能が併設していることで倉庫に「貯蓄」している食料や寝具を非常時すぐに提供できる。また、工房や美術館での廃材や家具の「貯蓄」も非常時のエネルギー化や什器化に貢献する。

写真右に映る通り、ゴールデン街スケールの木造の壁と歌舞伎町スケールのコンクリートの壁が断面的にXの字ように織り混ざり、独特な空間体験を可能にし、余白空間を生む。写真左は屋外広場の日常の一部であり、余白空間に各階のスラブやネオンサイン、様々な年代の人の活動・視線、緑、工房製の什器が混じり合う。

写真右に映る通り、余白空間に避難し、南北に一つずつある大階段が、各々上階中央に向かっていることで、分かりやすい避難経路となり、支援員の配給の助けとなる。写真左では、工房としての機能が拡張され、廊下でも作業が行われている。ウッドストックや災害発生時の廃材が運ばれ、職人の指導のもと什器へ変化していく。