
応募対象の概要
長崎県西海市のヒノキを使用したタイニーハウスのコンペ応募案である。「ストローベイル工法」という建築手法を採用した地域住民の交流の場にもなるタイニーハウス住宅である。市の特産である「みかん」から着想を得て、雨水が住宅全体を巡る機能を住宅に持たせたことで、日常時からオフグリッドな生活を営むことができる。
フェーズフリーな性質の概要およびアピールポイント
西海市の特産である「みかん」の形状や機能に着想を得た「ミカンハウス」は、生活におけるエネルギーの外部供給を極力抑え、電力や水をまかなう住宅である。日常時からもしもに備えた生活を送ることで、災害発生後の停電や断水時などでも心理的に落ち着いて日常と変わらない生活を送ることが可能である。また、万が一災害等で建物の一部が欠損しても、藁・土・漆喰で作るストローベイルハウスであれば、修復も地域住民でおこなえる手軽さも備えている。ミカンハウスの外から中庭までつながるウッドデッキは、地域の交流の場としての機能も有しているため、日常の何気ない会話の中から、周辺住民や地域状況における異変の早期発見に貢献できる。

近隣の人との交流の場ともなる菜園付きウッドデッキを中心に、それを囲うように部屋を配置。水の巡る順番を考慮しつつ、公私を分けられる間取りにした。住み手の好みによって間仕切り壁を追加できるよう、コアや構造体はヒノキだが、そのほかの主な部材は藁・土・漆喰とし、カスタム性の高い住宅とした。

屋根伝いに流れる雨水が、大きな貯水タンクに貯められ、洗面→キッチン→植物の土壌→トイレ排水と使われる。また、壁材を藁の塊・ブロックとしたり、中央のビニールハウスの枠を木製とすることで、冬は暖かく、夏は涼しいため、電力が削減できる。
中央のテラスで育てた植物等は、日常・非常時を問わず食糧となる。